2010年9月20日月曜日

レベル CADILLAC ESCALADE 製作記 その3

久しぶりの更新です。前回の記事ではJMCのエントリーにギリギリ間に合うか・・・ってところでしたが、何とかなりました。
そんなドタバタの奮闘はさておき、17日の木曜日に「第一次セレクション合格」の封筒が届きました。
今後は期日までに作品をハセガワに送り込むわけですが、この先どんな結果になるのか楽しみです。

さて、CADILLAC ESCALADE の足回りを組みました。ゴールドに塗装したブレーキキャリパーがホイルの間からチラリと見えていい感じです。



これから唐突にご紹介するのが、今回の製作でどうしてもトライしたかったこと・・・エッチングパーツの自作。
ネットでググると結構たくさんの人がトライしています。
前々からエッチングパーツは、精密感、スケール感を高めるために使っていたのですが、専用品は一部のものに限られており、汎用品では表現できない部分もあり、残念に思うことがありました。
今回エッチングで置き換えようと思っているのはサイドとリアのエンブレム。ボディーに凸で表現されており、塗装、研ぎ出しで邪魔になるために削り飛ばす必要がありました。
最初は、アルプス社製のMD-5500のプリンターでフラッシュシルバーを使い自作デカールを作ったのですが、残念なことにクリアコートすると細かくシルバーの部分が割れてしまいNG。そのような理由からも自作エッチングの道を選択したわけです。(そんなたいそうな理由ではありませんが・・・)


このような原画を用意しました。後述しますが、この原画はエッチングするときに非常に効率が悪く、一部に失敗があります。
この段階ではまだ、そのような事は分かっていなかったということで・・・・ご容赦を。後ほどその原因を文中に書いていきます。

また、紙の質や印刷機器の選択も非常に重要で、印刷機器はレーザープリンター、紙はインクジェットプリンタ用紙で「スーパーファイン」とか「コート紙」と記述のある紙を使用します。

参考にさせていただいたブログやホームページは・・・

■ 闇鍋模型アーカイヴス http://yamimoarch.shikisokuzekuu.net/
■ Urotake's Modeling Blog うろたけのモデリングブログ http://urotake.livedoor.biz/archives/775041.html

いずれも「F式」と呼ばれる方法です。エッチングで一番面倒と思われる原画を基盤に感光する部分が必要無く、このアイデアを思いつかれた方に感謝します。

原画はアドビのイラストレーターで作画しました。別にソフトは、イラストレーターでなければいけないことはありません。
ドロー系のソフトであればOKです。ドロー系のフリーソフトでは、「Inkscape」がおすすめです。

原画は正像と鏡像を左右もしくは上下対象に配置する必要があります。


このように折り曲げて、転写する洋白板を挟み込みます。洋白板の厚みは0.1ミリを使用します。
板は真鍮板でもOKですが、アルミ板はエッチング液で腐食させるときに盛大に反応して危険とのことで使用は不可です。

ただ、0.1ミリ厚の洋白板にしても真鍮板にしてもホームセンターでは売っていませんでした。東急ハンズにもあるようですが、確実なのは通販です。amazonで「洋白板」を検索するとヒットします。

この原画を洋白板に貼り付けるときに両面が’’ずれない’’ことも非常に重要な部分です。

黒の部分が、エッチング液で腐食させたときに残る部分です。黒枠の部分にも「CADILLAC ESCALADE」の文字がありますが、これは片面だけなので、腐食後は凹になって残ります。
実は黒枠に記してある文字は鏡像でないと、できあがりで文字が反対になって完成してしまいます。これが一部の失敗の部分。ただ、黒枠の部分は使いませんので、実害はありませんでした。



それでは、実際に洋白板に作画を転写していきましょう。
まずは、洋白板の表面の酸化した皮膜を除去します。耐水ペーパーの400番から1000番相当で磨くそうですが、以前ご紹介したKOVAXの「スーパーアシレックス レモン #800」を使用しました。不均衡な傷も付かずになかなかうまい具合で表面の処理ができました。



仕上げは、表面をシンナーで脱脂します。

原画を両面ずれないように洋白板に貼ったのちラミネーターに通します。
ラミネーターに通す理由は、原画のインクジェット紙に印刷されたトナーを洋白板に熱転写することです。
ラミネーターの種類は最高温度が150度から180度になるものがよいそうです。

ラミネーターには3回通しました。
どれくらい通せばよいのかはっきりしませんが、インクジェット紙に付着したトナーが洋白板に転写されるということは、インクジェット紙と洋白板がしっかり固着していればいいだろうとの判断で3回目でOKかな・・・と言う感じ。ほとんど目分量です。
途中ではインクジェット紙を絶対にめくってはいけません。これはお約束です。このあたりは鶴の恩返しと同じことですね。

転写が終わったら素早く水の中へ。冷却の意味ではなく、洋白板に固着したであろうインクジェット紙を水でふやかして除去するためです。
洋白板にトナーがうまく転写されていると、ご覧のようなトナーの部分以外が水でふやけてきます。
インクジェット紙の全体が均一にふやけるようであればかなりの確率で失敗です。


インクジェット紙がふやけるまでしばらく水につけておきます。ふやけたインクジェット紙は簡単に手で剥がせます。
それでも一部の繊維が残りますので、指の腹で優しくしごきます。あまり強く行うと転写されたトナーまで剥がれてくるので注意しましょう。


ご覧のような感じで転写ができました。写真では転写されたトナーが黒々写っていますが、しばらくすると灰色っぽくなりますが、これは問題ありません。

ここまでは特に苦労することはありませんでした。前述したブログを熟読されれば楽勝だと思います。
片面しか写っていませんが、ちゃんと両面に転写してあります。写真では2セット分が転写されています。

これからは、いよいよエッチング作業です。エッチング液を用意し、エッチング液をヒーターで40度くらいに温めます。(エッチング液を加熱のために直接鍋で熱してはいけません。ヒーターによる加熱をしない場合は、エッチング液の入った容器をお湯で温める方法があります。)

エッチングは全く初めてで見当も付かなかったので、「サンハヤト」から販売されているプリント基盤作製用のものを使いました。
一度行った感じでは、エッチング液は代用が浮かびませんが、エッチングを入れる容器は2リットルのペットボトルをブッた切ったもので十分でした。
エッチング液を適温にするために湯煎する方法もありますが、手間を惜しむなら保温用のヒーターはあった方が便利かなと思います。

エッチングはエッチングする物を立てて行った方がうまくいくようです。このような理由から容器は平べったいトレイのものより、深さのある容器を選ぶことになります。
ただ、エッチングする物を立てても腐食は均一に進まず、下の方から腐食が進んでいきます。時々上下を入れ替えないと腐食が一部に強く出てしまい失敗の恐れがあります。


エッチング液の温度により腐食の進行時間はまちまちのようです。時々引き上げたりして状態を確認します。

よい具合に腐食が進行して、腐食を終わらせたい時は容器から洋白板を取り出し重曹水につけ中和させます。
エッチング液と重曹水が反応して泡がでます。泡がでなくなったら終了です。水だけでは浸食の反応は止まらないようです。
重曹は、100均でも扱いがありますし、薬局でも手に入ります。
ちなみに重曹は、洗濯の時の洗剤の代わりやゴミ箱の脱臭、鍋の焦げ落とし、キッチンのしつこい汚れ落としなど多様な用途があるとパッケージに書いてありました。なかなか万能ですね。

表面にトナーが残りますので、シンナー等を筆に付けて優しく擦り除去します。
表裏のズレもなく初めてとしてはまずまずかと思います。

反省点は、文字以外の不要部分を腐食させる面積が多くて、腐食時間が長くかかってしまい、本来腐食してはいけない部分の文字の表面が不均一に荒れてしてしまいました。
溶かす部分はもっと小さくなるように、作例の場合は、文字の外枠の腐食部分を最小に留めるべきでした。

腐食時間が長かったため表面が荒れていますので、洋白板の枠から切り離し、ペーパーパレットの台紙に木工用ボンド貼り付けます。
その後丁寧に表面を耐水ペーパーで均し、最後にクレオスのメタルプライマーで保護します。

これで使うときに台紙ごと水に付ければデカールのように剥がれてきます。

最後にエッチング液は、何度か繰り返し使えるようなので(反応が進むにつれ腐食時間が長くなるそうです。)、プラスチックの密閉した容器で日の当たらないところに保存しておきます。
エッチング液を捨てる場合は、そのまま下水に捨てると沈殿した銅や亜鉛等の金属が有害となるので、中和させてからセメントで固めて燃えないゴミに捨てるというのが正しい処理方法だそうです。

セメントで固めるのは一般的ではないと思われるので、中和させてからオイル処理のオイルパックに染みこませてゴミとして捨てるというのがいいかもしれません。